屋根の下地処理の重要さは？
必ずといっていい程『屋根の塗装は何年持つの？』というご質問をいただきます。
耐久年数は樹脂により異なります。また下地の状況、下地の処理により大変変わってきますので一言で“屋根の塗装”と言っても状況は違ってきます。
ここではどういった仕様で、どういった樹脂を使うか、それによりどれくらい違いが出るのか、実験結果をまとめました。
雪国と都内では屋根の素材も塗装の仕様も劣化状況も違います。東北地方は毎年豪雪ですので屋根の劣化状況は著しくそれに耐えうる塗装膜を形成しなければなりません。
また、メーカーの屋根塗料カタログでは雪の状態を計算して作られておりませんので、カタログ上の耐年数はあてにならないのです…ですので、少しでも参考のため当店では塗料の実験をご紹介です。
どういった仕様で、どういった樹脂を使うか。それによりどれくらい違いが出るのかをちょっとばかり検証してみます。
以下の写真は当店の屋根で瓦棒葺きトタン屋根です。
瓦棒から瓦棒までを1列とし、樹脂ごとに分けて塗装してみた様子です（瓦棒とは縦に走る出っ張った部分）
目次
- (1) 高圧洗浄後→ケレン(錆落とし・目粗し) →エポキシ錆止め→上塗り1回
- (2) 高圧洗浄後→ケレン(錆落とし・目粗し)→上塗り1回
- (3) 高圧洗浄後→(ケレン無し)→エポキシ錆止め→上塗り1回
- (4) 高圧洗浄後→上塗り1回
- 考察
(1)高圧洗浄後→ケレン(錆落とし・目粗し)→エポキシ錆止め→上塗り1回
2年前
こちらは当社推奨のフルスペック型屋根塗装で当店は殆どこの仕様です。
1：アクリル樹脂
2：ウレタン樹脂
3：2液型ウレタン樹脂
4：1液シリコン樹脂
2年後
二冬越しましたが、樹脂別ともにほとんど傷みは見られませんでした。光沢保持率も約50％というところですかね。 1でのアクリル塗料は光沢が一番落ちています。(天気と汚れにより少し色が違って見えますがご了承を…)
(2)高圧洗浄後→ケレン(錆落とし・目粗し)→上塗り1回
2年前
こちらはエポキシ錆止めを省略したものです。
1：アクリル樹脂
2：ウレタン樹脂
3：2液型ウレタン樹脂
4：1液シリコン樹脂
2年後
こちらも特に傷みは見られず退色した程度です。
錆止めを入れていませんので期待はしてなかったのですが、わりと錆びないものでした。
(3)高圧洗浄後→(ケレン無し)→エポキシ錆止め→上塗り1回
2年前
こちらはケレン作業を省略したものです。
1：アクリル樹脂
2：ウレタン樹脂
3：2液型ウレタン樹脂
4：1液シリコン樹脂
2年後
こちらも退色はあったものの傷みは見受けられませんでした。ケレンなしでは密着性に違いが出ると思いきやエポキシ錆止めだからなのか塗膜はしっかりしていました。
ですが、ケレンの工程を省いてはいけません。
(4)高圧洗浄後→上塗り1回
2年前
こちらは洗浄後上塗り1回のみ。
1：アクリル樹脂
2：ウレタン樹脂
3：2液型ウレタン樹脂
4：1液シリコン樹脂
2年後
なんと面白い結果が！ぱっと見るとただ退色しただけに思えますが、軒先のほうが剥がれてしまっています。
考察
結果、高圧洗浄だけの処理では何で上塗りを塗っても耐年数は変わらない！ということがわかります。
実はこの仕様が良く見られ当たり前になってきている仕様なのです。これではいくら「シリコンは長持ちしますよ」なんて言っても意味がありません。
ケレンと錆止めを塗ることで上塗り樹脂本来の力が発揮できるのです。
また、ケレンをしてから洗浄している業者がありますが良く考えてみてください。錆を落とすと新設の亜鉛メッキ面が出てくるのにそこに水をかけたらまた錆びるじゃありませんか。次の日また錆びていたらまたケレン?なんて疑問があります。順序的には洗浄後にケレンです。ですが、ケレンした後の粉化したチョーキング粉や埃、剥がした塗膜を除去するのにまた掃除しなければならずこれでは2度手間です。
ですので当店は下地の傷みや汚れが酷くない限り洗浄はしていません。入念にケレン、掃除すれば何の問題もなくその後錆び止めを入れて上塗りすれば完了です。
そのほかも色々実験しておりますので、結果が出次第報告したいと思います。以上トタン屋根の真実でした！
