雨漏り大規模修繕その1

雨漏りの大規模修繕の事例を紹介します。
こちらの建物は築33年で、新築で建てた当初からずっと雨漏りがあり、その雨漏りしている箇所が何か所もあるようでした。御施主様は大変困っており、雨漏りのたびに建てた工務店に補修のお願いをしたのですが、何度補修しても改善されず、外壁を塗装すれば雨漏りが直ると思い、塗装屋さんに外壁塗装をお願いしたが改善されず、我慢し続けて30年、いよいよ心配になり当店に依頼がありました。
私は現地確認の時点で、あちこち納まりが悪いのに気付き、足場を組んで全面の雨漏り調査を実施後に工事の提案を致しました。
建物は1階は鉄骨造、2階・3階は木造で大きな邸宅になります。
赤外線カメラに散水を併用して丸2日間の調査となりました。
その甲斐もあり、原因もハッキリ分かり、いざ、工事の段取りとなります。
原因は新築当初の工程の順番が間違っている、もしくは何か工務店側で都合が悪くなってしまい、やむを得なく工程が変わってしまった、等が挙げられますが修繕の仕様としては雨漏りしている箇所をすべて根本から直した後に、全体を塗装する方向で進めました。
調査をしてみて、あちこちから漏れているのが確認できております。
また、この年代の建物にしては軒の出が全くないのも珍しいです。軒の出がない建物は雨漏りのリスクが高くなりますから、現代の新築では昔より雨仕舞の重要性の意識が高くなっております。このころの建築知識では軒が出ない建物にはだいぶ無理が生じていたのではないか?と思います。
上記の写真のような箇所が多く見受けられますが、これでは何回塗装してもすぐ膨れたり、エフロが出たり、塗膜が剥がれたりしてしまいますから注意が必要です。
だって壁の中はこうなっているのですから↓
なかなかショッキングですよね?
まずは雨漏り箇所がある部分と、表面には表れていなくても同じような外壁の納まりになっている箇所は全て解体しました。
腐ってしまった柱は新しい柱に入れ替えし、防水シートをしっかりと張り雨仕舞します。
軒の出がないのは雨漏りのリスクが高くなりますので、外周は軒を少しでも出すために150mmほど延長します。外壁にピッタリとついていた破風も解体しました。
この写真、外壁のモルタルを上までしっかり塗ってから破風を付けているのではなく、破風がついた状態でモルタル塗りをしています。ですので、破風の裏側までモルタルが入っておらず、大きな隙間から内部に雨水が浸入してしまうようです。しかも、破風は木の露出で出来ていますので、長年すると瘦せてしまいスカスカになり腐れかかってしまいます。(麩菓子のような感じ)
撤去した外壁部分に防水シートで雨仕舞してから、ラスカットボードを張り、更に雨仕舞します。
この上にモルタルで既存の外壁の高さまで仕上げます。
モルタルは、中塗りと上塗りで合計20mmから25mm塗りました。
最後は、外壁の塗装時に補修痕が出ないように、薄付けモルタルで肌を整えます。
軒を延長させるために、上記写真の屋根は葺きなおしました。

施工前

施工後

施工前

施工後

木工事や左官工事の下地補修が終わると、いよいよ外壁塗装の仕上げに移ります。
ここまでで2週間以上かかりました。

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